■特集:オープンキャンパスに行こう!
AO入試(総合型選抜)で、第1志望の東北大学法学部に進学した鈴木叶恵さん(仮名)。地元の岩手県では行きたい大学を見つけられなかった彼女の背を押したのは、高校が主催する東北大学へのオープンキャンパス日帰りバスツアーでした。(写真=東北大学提供)
学校行事でオープンキャンパスへ
――最初にオープンキャンパスに行ったのはいつですか。
高1の夏です。7月末に学校行事として、東北大学のオープンキャンパスに行ったのが最初です。
――学校行事でオープンキャンパスに行ったのですね。
貸し切りバスに乗って、1学年みんなで行きました。遠足みたいに(笑)。ただ、東北大学は気になっていた大学でした。高校受験のときに中学校の先生から「面接で聞かれるかもしれないから、行きたい大学をいくつか考えてみるといいよ」と言われて、両親と将来について話したのがきっかけです。
そのときに何となく「弁護士っていいよね」という話になり、そこから「弁護士のなかでも罪を犯した人を弁護するよりも、起訴する検察官がかっこいい」と思うようになりました。ただ、地元には法学部がある大学がありません。近県の国立大学も調べてみたところ、東北大学に法学部があることがわかって、意識していました。
――学校行事で行けたのはラッキーでしたね。
意識していた大学とはいえ、イメージは「仙台にある旧帝大」くらいでした。それが実際に行ってみると、緑いっぱいのキャンパスが気持ちよくて、「3年後にここにいられたらいいな」と思いました。
現地では自由行動だったので、気になっていた法学部の模擬講義を受けました。「憲法とは何か」というテーマで、今まで考えたこともなかったような視点の話を聞けて、とても面白かったです。教授がユーモアあふれる方で、「この続きは入学してから」という言葉で講義を締めくくったのも、「入学して続きを聞きたい」という気持ちを後押ししました。
学部説明会では、法学部には法科大学院と連携している「法曹コース」と、海外留学が必須のプログラムのある「国際コース」という選択肢があることや、頑張れば早期卒業できることなど、具体的な情報を聞けたこともよかったです。
――ほかの大学のオープンキャンパスには参加しましたか。
同じ高1の夏に、希望者だけで東京大学のオープンキャンパスに行く機会もあり、参加しました。ただ、東大の模擬講義は自分の興味とはテーマが合わなかったうえに、参加者がみんな、真面目で頭が良さそうに見えてしまって……。おまけに自然光が入らない教室だったせいか、東北大学の教室が明るかったことと比べて、空気が重い印象を受けました。一橋大学や東京外国語大学も気になっていましたが、その後はコロナ禍で、オープンキャンパスに参加できませんでした。参加できていたら、志望順位は変わっていたかもしれません。
担任のアドバイスで知ったAO入試
――オープンキャンパスに行ったことで、気持ちに変化はありましたか。
高1の夏という早い段階で「東北大学の法学部を目指したい」という気持ちが固まったことは、大きかったです。1年の2学期の個人面談で担任の先生に話したところ、「東北大学なら3年の秋にAO入試という選抜方法もあるよ」とすすめられました。調べてみると、AO入試(総合型選抜)は書類審査と筆記試験などがあり、しかもチャンスが2回あるとわかりました。一般選抜と合わせたら、合計3回受けられることがわかったので、挑戦してみようと思いました。
――受験勉強の方向性を早くに決められたのですね。
AO入試の2回のうち、1回目(AO入試Ⅱ期)は東北大学独自の筆記試験、2回目(同Ⅲ期)は共通テストが課されますが、前者の英語は時事系の内容がよく取り上げられます。過去の問題文を見たら専門用語も多くて難しい印象でしたが、時事問題が知識として頭に入っていれば、わからない部分があっても割と答えられるはず。高校でもらった先輩の合格体験記にもそんなことが載っていたので、新聞をよく読み、時事問題に触れるように意識しました。
――早くに第1志望校を決めて、気持ちが変わったりすることはありませんでしたか。
コロナ禍に入ってオープンキャンパスに行けなかったこともあり、大きくブレることはありませんでした。高3の8月からは高校で志願理由書の添削もしてもらい、無事にAO入試Ⅱ期で合格をもらうことができました。
第1志望は、自分の目で確認
――オープンキャンパスに参加しようか迷っている受験生に、アドバイスをお願いします。
大学のパンフレットやオンラインのオープンキャンパスでも情報は得られますが、キャンパスの雰囲気や学生の様子などは、実際に足を運んでこそわかるものだと実感しました。興味のある大学のオープンキャンパスには、可能な限り、早くから参加してみるといいと思います。私のように気になる大学がある人なら、本当にそこでいいのかの確認ができるし、逆に何も決まっていなくても、きっと何かしら見えてくることがあるんじゃないかな、と思います。
※学年等は取材当時のものです。
(文=山本知美、協力=スタディプラス)