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【大学受験の仕組み】新課程共通テストの基礎知識 長文化する英語、1分で150単語…スピード命

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大学入学共通テストは、2025年度から、新しい学習指導要領に対応した内容に改められます。この記事ではその変更点に加え、共通テストを受ける際の基本的なことから、人気教育系YouTuberらによる受験アドバイスまで、共通テストに関わる情報を幅広く紹介します。(写真=2023年の大学入学共通テスト、東京都文京区の東京大正門前で準備する大学の職員たち、朝日新聞社)

 

 

1. そもそも共通テストとは?

毎年1月中旬の2日間(土日)に全国で一斉に行われる、「日本最大の入学試験」とも言われるテストです。国公立大の一般選抜では、この「共通テストの得点」と「大学独自の2次試験(個別学力検査)の得点」の2つで合否判定されるのが一般的なため、国公立大の一般選抜を受ける場合、共通テストは原則として受ける必要があります

一方、私立大志望の受験生は必ずしも受ける必要はありませんが、共通テストの成績で合否を判定する「共通テスト利用方式」を実施している私立大が多くあります(個別試験を課すケースもあります)。共通テストの結果だけで複数の大学や学部・学科に出願できるうえに、一般方式では3万5000円程度かかる受験料も半分程度で済むなど手軽に受けられますが、そのぶん出願しすぎてしまうケースもあるようです。共通テストと私立大の独自試験は対策が異なりますので、「共通テスト利用方式」を本当に利用すべきなのか、よく検討することが大切です。

→ もっと詳しく
>「共通テスト」は私大希望でも受けるの? 親のための基礎からわかるQ&A

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2. 25年度から共通テストはどう変わる?

22年度に高校の新学習指導要領がスタートし、そのときの高校1年生が大学受験をする25年度から、共通テストも新課程に対応した内容に変わります。新課程では、知識や技能を身につけるとともに、それを社会の中で活用していくための思考力・判断力・表現力を育むことが重視されているため、共通テストでもそれらの力が試されることになります。

大きな変更点は下図の通りです。

(資料=河合塾提供)

① 『数学②』と『地理歴史,公民』は新課程に対応した出題科目に変更
② 新科目として『情報Ⅰ』が追加
③ 『数学②』と『国語』は試験時間が10分延長
④ 『国語』は近代以降の文章の大問の追加と配点変更
⑤ 『理科①』『理科②』の試験時間を一本化

変更直後は過去問もなく、不安を覚えるかもしれませんが、その状況はみんな同じです。大学入試センターのホームページでは試作問題も公表されていますので、参考にするといいでしょう。

→もっと詳しく
>変わる大学入学共通テスト 問題数が増え、試験時間が延長…2025年度からの変更点

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3. 新科目『情報Ⅰ』って何? 対策は?

25年度の共通テストから、新しい科目として『情報Ⅰ』が加わります。「情報」というとプログラミング教育を連想するかもしれませんが、それだけではありません。これからの世の中はますますICTやAIが普及していくと考えられ、安心・安全に暮らしていくには、情報化社会の知識やルールを身につけておく必要があります。そこで高校では22年度から「情報Ⅰ」が必修科目となり、情報化社会を生きていくために欠かせない知識やルールを幅広く学習しています。そして、その成果を問うのが共通テストの新科目『情報Ⅰ』です。

大学入試センターが公表している『情報Ⅰ』の試作問題を見ると、そのことがよくわかります。問題は大問1~4で構成され、問題数は40問程度です。SNSや鉄道の路線図といった身近な問題解決を題材に、インターネット情報の信ぴょう性を確かめる方法や、二次元コードの知識、プログラミングの知識、さまざまなデータをコンピューターで活用する方法などが出題されています(試験時間60分、配点は100点)。

高校の授業をしっかりと受け、問題解決を目的とした学びをしていけば十分に答えられる内容ですが、教科書をパラパラと読んだだけで太刀打ちできるようなものでもありません。試作問題を早めに見て「どういうものか」を知ったうえで、簡単なところからステップ・バイ・ステップで勉強していくことを専門家はすすめています。

→ もっと詳しく
>大学入学共通テストに出題 新科目『情報Ⅰ』の対策はどうする?
>「謎のプログラミング言語」が出題される…? 共通テスト新科目『情報Ⅰ』の攻略法

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4. 25年度からの『英語』はスピードが命!

保護者世代が受けた大学入試センター試験の時代には、発音・アクセントを問う問題や語句を並べ替える問題がありましたが、現行の共通テストでは、すべてが複数の資料から情報や話し手の意図を読み取るタイプの読解問題です。配点構成は「リーディング100点(80分)」「リスニング100点(60分)」の200点満点で、リスニングの重要性も上がっています。

25年度からはどう変わるのでしょうか。大学入試センターが公表している試作問題を見る限り、配点や出題形式などに変化は見られません。一方で、会話文から立場の異なる5人の主張を整理し、自分の考えを正しい構成でエッセイにまとめる問題だったり、リスニングの題材が学生同士のディスカッションだったりと、ライティングとスピーキングの統合をより意識した出題になっています。また、A問だけでも単語数が1300語を超えているのも特徴です。共通テストでは年々、総単語数が増し、ここ2年は6000語を超えていることから、25年度も同様になることが予想されます

80分の試験時間内に6000語を超える問題を読み解くには、1分あたり120語から150語のスピードで読む力を身につけておく必要があります。それには単語力をつけることは大前提として、英文を正しく読む精読力をつけたり、語順通りに意味をとらえる訓練をしたりすることがポイントだと専門家はアドバイスします。

「英語」の総単語数は年々増える傾向にある(資料=アクシブアカデミー提供)

→ もっと詳しく
>新・共通テスト1日目の「英語」終了は午後6時過ぎ 対策の肝は「スピード」
>大学入試の英語、30年で激変 止まらぬ難問化、東大試験は「これが限界では?と思うくらい」

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5. 「共通テスト利用方式」の今後の行方

大学入試では、共通テストの成績を活用して私立大を受験できる「共通テスト利用方式」という選抜方式があります。共通テストを受けることで国公立大と私立大の両方に出願できるほか、一度に複数の大学や学部・学科を受験できることから、特に国公立大志願者にメリットのある方式として、多くの受験生に利用されてきました。

ところが、23年度入試でこの方式に出願した受験生は、前年度比98%とやや減少傾向にあります。その原因として専門家が指摘するのは、まず私立大志望の受験生が、総合型選抜や学校推薦型選抜といった年内入試に流れていることです。また、共通テストになってから、私立大の一般方式向けの勉強だけで共通テストに臨むことは難しくなっていることも挙げられます。しかも、少子化で受験者数も減少していくことから、今後、私立大専願者の共通テスト離れが起きるだろうと考えられています

23年度の私立大の入学者は半数以上が年内入試組(資料=文部科学省「令和5年度国公私立大学入学者選抜実施状況」をもとに編集部で作成)

一方、「共通テスト利用方式」で増加傾向にあるのが、国公立大と同様に5科目や6科目を課す多科目型です。多科目型にすることにより、国公立大の志望者が私立大を併願しやすくなり、国公立大の併願としての共通テスト利用が増える可能性があります。

とはいえ、選ばなければどこかの大学に入ることができる時代が、すぐそこまで来ています。「行ける大学」を選ぶのではなく、「行きたい大学」の選抜方式に合わせて準備を進めることがますます大事になります。

→ もっと詳しく
>2024年度共通テストは出願者数が減少 私立の「共通テスト利用入試」は今後どうなる? 専門家が解説

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6. 東大卒YouTuberは新課程共通テストをどう見る?

東京大学を卒業した今もなお、共通テストを会場で受け続けている東大医学部卒の教育系YouTuberの宇佐見天彗(すばる)さん(写真右)。共通テストは、「問題文をすべて読み切らなくても答えられたセンター試験と違い、長い文章や資料を読んだ上で判断させたり、考えさせたりする問題が年々増えているのを感じる」と言います。そのため、時間配分が難しく、手を止めずに走り続けないと、全問を解き切れないのだそうです。

一方、東大入学後に起業し、さまざまな教育関連事業を展開する西岡壱誠(いっせい)さん(写真左)は、25年度からの共通テストの試作問題を解いた感想を「読解力が求められる度合いが増したかな、という程度」と言います。ただし、本番ではプレッシャーから解答に自信が持てなくなってしまうこともあることから、「試験を乗り越えるにはメンタルの強さも大事」と話します。

「共通テストは何かの科目で訳がわからないほど難しい問題が出てきて、心を折られることを大前提にしておいてください。模試などで一度は心が折れる経験をしておいた方がいいかもしれません」(西岡さん)

→もっと詳しく
>【共通テスト対策】「時間との闘い」「魔物がいる」…教育系YouTuberが教える攻略ポイントは【前編】
>【共通テスト対策】「親のアドバイスはいらない」 教育系YouTuberが教えるメンタル術【後編】

(撮影=加藤夏子)

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7. QuizKnockこうちゃん・とむさんから受験生へ!

 

YouTubeやクイズ番組などで大活躍している東大発の知識集団・QuizKnock(クイズノック)のこうちゃんととむさんに、共通テスト(センター試験)の思い出やアドバイスを聞きました。

東大に進学したこうちゃん(写真右)は、センター試験は「自信があった」にもかかわらず、受験会場の独特の緊張感にのまれてミスを連発。「どんなに知識を詰め込んでも、発揮できなくては意味がない」として、本番を想定した、気持ちや行動面の準備をすることも大事だとアドバイスします。

一方、現役東大生のとむさん(教育学部3年)は、用意周到派です。どんな環境でも「いつも通り」を発揮できるように、ざわざわした環境や慣れない環境で、本番と同じような問題を解く練習をしたと言います。5カ月間で、共通テストを想定した模試の点数を150点は上げたというとむさん。これから共通テストに挑む受験生には「1日1点上げるつもりで頑張ってほしい」とエールを送ります。

様々な変更点のある2025年度からの共通テスト。試作問題を解いたり、十分な準備を積み重ねたりして対策をしてください。

→ もっと詳しく
>試験当日、お守りは「激落ちくん」だった 東大合格「クイズノック」メンバーが語る共通テスト前に「しちゃダメなこと」

(撮影=山本倫子)

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(構成=朝日新聞「Thinkキャンパス」編集部)


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