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【体験談】憧れの大学、こだわって2月に「6回」受験 家族で合否を確認、結果は…

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■大学受験のバトン・先輩の失敗から学ぶ

高校2年の夏には関西大学法学部を第1志望と定め、早くから過去問にも取り組んでいた石川千愛(ちな)さん。入試対策はバッチリのはずだったのですが、入試直前、思いがけないスランプに陥ってしまいました。ピンチをどのように乗り切り、合格をつかんだのでしょうか。(写真=ボロボロになるまでやりこんだ英単語帳と世界史のノート、本人提供)

高3春から受験モードに切り替え 週末は自習室で13時間勉強

 ——関西大学法学部を目指した理由を教えてください。

高校2年の夏、関西大学のホームページで、同大学の前身である関西法律学校の創設者の一人は司法官の児島惟謙(これかた)だと知りました。明治時代、政府からの圧力に屈せず、「法を人のために使う」という姿勢を貫いた人です。中学の社会科資料集に載っているのを見て以来、正義感に満ちていてかっこいい人だなと思っていたので、「私も法律に関わる仕事に就いて児島惟謙のようになりたい」と、関西大学法学部を目指すことに決めました。

——高校2年で目標が見つかったのですね。本格的に受験勉強を始めたのはいつ頃でしたか。

高校3年に上がるタイミングです。私は、長期休みには雪山にこもってスキーのジュニアオリンピックに出ていたほど、スキーが大好き。高3になる直前の春休みに、修学旅行でスキーに行ったのですが、これが終わったらしばらくスキーも封印して、「受験モード」に切り替えようと決めていました。受験生にとって「滑る」なんて縁起が悪いし、貴重な時間を勉強以外のことに費やしたら、後悔すると思ったのです。

それまでは、学校の課題も友達のノートを写させてもらうような状態でしたが、受験モードに切り替えてからは心を入れ替え、疑問に思ったことはすぐに塾の先生に質問するようにしました。受験直前の週末には、朝8時半から夜10時ごろまで、塾の自習室で13時間くらい勉強していました。

3歳から始め、ジュニアオリンピックに出場したほどの腕前を持つスキーも、受験勉強のために封印した(写真=本人提供)

過去問を解きすぎ? 焦りから成績がガタ落ち

——受験モードに入ってからの勉強は順調でしたか。

高校3年の早いうちから赤本も解き始め、冬には7〜8割は解けるようになっていました。英語、国語、世界史の3科目での受験でしたが、古文と世界史はほぼ仕上がっていて、塾の先生にも「このまま突っ走ったらトップを狙えるんじゃない?」などと期待されるほどでした。

ところが、12月中旬に突然、過去問がなぜか解けなくなってしまったんです。正答率が5割を切ることさえありました。それまで7〜8割は取れていたのに、やればやるほど合格最低点にもたどり着けなくなってしまいました。

——それは焦りましたね。原因は何だったのでしょうか。

過去問をやり過ぎてしまったのかもしれません。というのも、冬休みに入ってからは本番を意識して、毎日、実際の入試の試験時間に合わせて赤本を解くようにしていました。その結果、解けば解くほど「解けないとダメだ」と自分の中でハードルが上がってしまい、自分を追い詰めてしまったのかもしれません。

今でこそそう思いますが、当時はわけがわからず、ただ焦るばかり。同じような経験をした受験生はいないかと、塾のトイレでこっそり「受験前 過去問の点 下がる」などとスマホで検索しては、「結局、点数が上がらないまま本番に突入した」といった悪い話ばかりが目について、不安が増す一方でした。

ところが、1月半ばに塾の先生に話したら、「私にもそんな時期があったよ。でも、志望校に合格したからあなたも大丈夫」と、求めていたような安心できる言葉が返ってきたんです。すると、肩の力が抜けて、嘘のようにスーッと楽になりました。焦りが消えて、冷静になれたのです。おかげで受験当日も、「とりあえず自分の今できることだけをやろう」と落ち着いて迎えられました。

得意の世界史の配点が高い選抜方式で合格

——入試での受験校を教えてください。

関西大学の一般方式は、法学部だけでも最大6回受けることができるので、その全日程を受験しました。前半3回は英語200点、国語150点、世界史100点の配点ですが、後半3回は全教科同一配点(各150点)でした。世界史が得意な私は、世界史の配分が高い後半にかけようと思っていました。

近畿大学法学部も受けました。もし2校とも不合格だったら、翌年は法学部は受験しないという強い覚悟で挑みました。高校の先生には、滑り止めの大学を増やすように勧められましたが、行くつもりのない大学を受けても意味がありません。だから、偏差値が低い滑り止めという保険をかけず、退路を断って挑むことにしました。

——そして見事、憧れの関西大学の合格を手にしました。

受験本番は冷静に問題に向き合うことができて、関西大学の4回目と6回目、それから近畿大学法学部にも合格できました。関西大学の4回目の試験は、自己採点で世界史が9割は取れていたので、手応えは感じていました。

関西大学の合格発表は、全日程分が同じ日にネットで公開されます。家族みんなで合否を見ようとパソコンの前に張り付いていたのですが、父がトイレに行っている間にうっかり母と私だけが先に合格を確認してしまい、父にさんざん怒られたというエピソードも今ではいい思い出です。

大好きなスキーにも、合格がわかってすぐに行きました(笑)。今思えば、受験もスキーも一発勝負。本番で力を発揮できたのは、スキーを長年続けてきたことで、メンタルが鍛えられていたこともあるのかもしれません。

大学では勉強はもちろん、スキー部の活動を楽しんだり、友達と旅行をしたりと充実の毎日。 写真は北海道ニセコ町の牧場で青い空をバックに(写真=本人提供)

——受験を経て、後輩に伝えたいことはありますか。

もしかしたら私のように、受験直前に過去問の得点が下がってしまう人もいるかもしれません。でも、やみくもに焦るのは禁物です。受験勉強にはメンタル面も大事だと私は痛感したので、それまでの自分の頑張りを信じて、できることを冷静に続けていくことが必要だと思います。

また、私が得意な世界史の配点が高い受験方式で合格したように、自分にあった受験方式を見極めることも大切かもしれません。

現在、私は大学2年になりましたが、さすが児島惟謙が創設した大学だけあって、法学部のカリキュラムが充実しています。私は法科大学院に進むための準備を3年間で進める「法曹コース」を選択しており、大学院で教えている教授の講義を受けたり、大学院生や弁護士の先生たちと接する機会もあったりして、刺激いっぱいの毎日です。将来は裁判官、弁護士、検察官などどの道に進むかは決めかねていますが、憧れの児島惟謙のように正義感あふれる法律家になれるよう、司法試験合格を目指し、いっそう勉強に力を入れたいと思っています。

(文=中村茉莉花、協力=アクシブアカデミー)


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